Raim
法律・規制中級者向け

FPV開局申請コンプリートガイド|系統図・保証認定・書類の書き方まで

📖 読了目安 約11
06/31連載「ルール・制度」の第6回です一覧を見る ›

⚡ 3行まとめ — 急いでいる人はここだけでOK

  • 流れは「アマ4級→書類準備(系統図)→保証認定(JARD/TSS)→総合通信局へ申請→免許状」
  • 最大の関門は系統図。申請実績のあるVTXを選べば入手も審査もスムーズ
  • 免許状が届くまでVTXの電源は入れない。機体が増えたら変更申請(増設)

アマチュア無線4級に合格した——でもまだVTXの電源は入れられません。FPVの本当の関門はここから始まる無線局の開局申請です。この記事では、書類の準備から免許状が届くまでを、つまずきポイント込みで通しで解説します。

全体フロー——先に地図を頭に入れる

// FPV開局申請の全体フロー 1 STEP 0:アマ4級を取る 国家試験 or 養成課程講習。従事者免許証が届いてから次へ 2 STEP 1:書類を準備 開設申請書・無線局事項書+工事設計書・VTXの系統図 3 STEP 2:保証認定を受ける JARDかTSSに提出。技適のないVTXはここが必須 4 STEP 3:総合通信局へ申請 保証書付きで開局申請。電子申請Liteが手軽で安い 5 STEP 4:免許状が届く 🎉 コールサイン付与。ここで初めてVTXの電源を入れられる 期間の目安:書類1週間+保証〜免許状で1〜2ヶ月。機体を組 む前から並行して進める ※ つまずきポイントは系統図——申請実績のあるVTXを選べばスムーズ(VTX申 請実績DB参照)
FPV開局申請の全体フロー。系統図と保証認定が山場

ポイントは2つだけです。

  1. FPVのVTXは技適がない機器なので、「保証認定」という審査を通してから開局申請する
  2. その保証認定に必要なのが系統図(送信機の回路構成図)

期間は全体で1〜2ヶ月が目安。パーツを買う前・機体を組んでいる間に並行して進めるのが正解です。

STEP 1: 書類の準備

必要になる書類はこの3点セットです。

開局申請に必要な書類

開設申請書

なにを書くか
氏名・住所・従事者免許番号など
入手先
電子申請なら画面入力

無線局事項書・工事設計書

なにを書くか
使う周波数・電波型式・送信機の情報
入手先
同上

送信機系統図

なにを書くか
VTXの内部回路の構成図
入手先
メーカー・販売店・コミュニティ

最大の関門「系統図」

系統図はVTXの回路構成を示した図で、自分では作れないため入手できるかどうかがVTX選びの条件になります。入手ルートは主に3つ:

  • メーカーが公開している(日本市場を意識したメーカーは公式サイトで配布していることがある)
  • 日本の販売店が購入者に提供している(国内FPVショップの多くが対応)
  • コミュニティで申請実績のある機種を選び、入手方法を先人に倣う

ただしこの3ルートが通用するのは主にアナログとHDZero系です。デジタルのDJI・Walksnailは系統図の公式提供がなく、系統図を有償販売する国内ショップも「デジタルVTXは解析対象外」としているため、入手は開局済みユーザーからの人づてが実情です(DJI・デジタルの詳細)。

書き方のつまずきポイント

  • 電波型式・周波数: 5.8GHz帯アナログ映像は「F8W」等、デジタルは機種により異なります。系統図の提供元が申請書の記載例をセットで配布していることが多いので、それに従うのが確実
  • 空中線電力: VTXの出力(25mW/200mWなど)を記載。申請した出力までしか使えないので、可変VTXは最大で使いたい値を
  • 移動範囲: アマチュア局は「移動する局」として申請(陸上・上空)

STEP 2: 保証認定(JARD / TSS)

技適のない送信機で開局するには、JARD(日本アマチュア無線振興協会)またはTSSによる「保証」を受けます。

  1. 保証願書と書類一式を提出

    Webから申込み、STEP 1の書類+系統図を提出します。保証料は数千円(送信機の台数などで変動)。

  2. 不備があれば補正依頼が来る

    記載モレ・系統図の不鮮明などは差し戻されます。実績のある機種+記載例どおりなら、ほぼ一発で通ります。

  3. 保証書が発行される

    これで「この設備は技術基準を満たす」という審査クリア。次の開局申請に進めます。

STEP 3: 総合通信局へ開局申請

保証を受けたら、管轄の総合通信局へ開局申請します。おすすめは電子申請(電子申請・届出システムLite)——書面より手数料が安く、進捗も追えます。

  • 申請手数料(電子申請の場合数千円)+免許状の送付費用
  • 審査は数週間。免許状とコールサインが届いたら、ようやくVTXに通電OKです

機体が増えたら——変更申請(増設)

2機目からは開局し直しではなく、変更申請で送信機(VTX)を追加します。流れはSTEP 1〜3の縮小版で、新しいVTXの系統図+保証→変更申請となります。デジタルFPVへの移行でVTXが変わるときも同じです。

よくある質問

❓ FAQ — よくある質問

Q.開局にかかる費用の合計は?
A.

保証料+申請手数料+郵送費で、おおよそ1万円前後(構成により前後)を見込んでおけば足ります。アマ4級の取得費用(講習なら2〜3万円)とは別です。

Q.免許状の有効期間は?
A.

アマチュア局の免許は5年ごとの再免許(更新)が必要です。期限の1ヶ月前までに再免許申請を。切らしてしまうと開局からやり直しになります。

Q.コールサインはFPVでどう使う?
A.

アマチュア局として運用する以上、呼出符号の明示が原則です。FPV運用での実務は、ゴーグルのOSDや機体への表示などコミュニティで様々な工夫がされています。運用ルールも含めてアマチュア無線の作法として押さえておきましょう。

Q.友達の免許で一緒に飛ばせる?
A.

無線局免許は「人+設備」に対するものです。免許を持たない人がそのVTXを運用することはできません。見学やゴーグルでの観戦(受信)は問題ありません。

Q.業務でFPVを使いたい場合も同じ?
A.

アマチュア無線は金銭を得る業務には使えません。業務利用は5.7GHz帯+第三級陸上特殊無線技士という別ルートになります。この記事はホビー用途(アマチュア業務)の解説です。

まとめ

  • 流れはアマ4級→書類+系統図→保証認定→開局申請→免許状。期間1〜2ヶ月
  • 山場は系統図申請実績のあるVTXを選べば9割終わったようなもの
  • 免許状が届くまで通電しない。機体追加は変更申請でOK
  • 5年ごとの再免許を忘れずに

これで法規シリーズは完全版です: 全体ルール機体登録無線資格開局申請(この記事)飛行許可・承認保険

SPONSORED

あわせて読みたい

連載「ルール・制度」の記事

記事一覧をすべて見る →
  1. 01ドローン飛行の法律とルール|日本で飛ばす前に知っておくこと
  2. 02ドローンの機体登録のやり方|DIPS 2.0での手順とリモートIDを初心者向けに解説
  3. 03FPVの免許は「2枚」ある|人の免許と機体の免許、1枚の図で完全理解
  4. 04FPVに必要な無線の資格とは?アマチュア無線4級と開局申請の流れを解説
  5. 05一等・二等無人航空機操縦士は趣味FPVに必要?国家資格の中身と要否判断
  6. 06FPV開局申請コンプリートガイド|系統図・保証認定・書類の書き方まで読んでいる記事
  7. 07リモートIDとは?自作ドローンに必須の外付け機器・免除条件・選び方
  8. 08100g未満のドローンは規制なし?「自由に飛ばせる」の本当と嘘
  9. 09「室内なら免許不要」は間違い|Tiny Whoopにも開局申請が必要な理由と、賢いまとめ申請術
  10. 10ドローンの飛行許可・承認申請のやり方|特定飛行とカテゴリーを解説
  11. 11DID地区(人口集中地区)の調べ方|地理院地図とアプリで30秒判定
  12. 12ドローン事故対応マニュアル|起こしてしまった最初の1時間にやること
  13. 13なぜ日本ではデジタルFPVが使いにくい?周波数帯の図で見る「本当の理由」
  14. 14ドローン保険は必要?賠償責任保険と機体保険の違いと選び方
  15. 15DIPSの飛行計画通報のやり方|特定飛行の義務・入力手順・よくあるつまずき
  16. 16DJIのFPVはなぜ「アマチュア無線で使えない」と言われる?3つの壁と合法3ルート
  17. 17FPVの免許・登録・保険、全部でいくら?法律関係の費用を総まとめ
  18. 18海外BNF完成機は「安い」だけじゃない|買う前に確認する3つの質問【実例つき】
  19. 195.8GHz規制緩和ウォッチ|FPVが免許不要になる日は来るのか【随時更新】
  20. 20ドローンの夜間飛行はどこまでOK?必要な承認・灯火・現実的なハードル
  21. 21ドローンを飛ばしていて通報・職務質問されたら|正しい対応と携帯すべき書類
  22. 22公園・河川敷でドローンは飛ばせる?場所探しのルールと確認手順
  23. 23ドローンの高度150m制限とは|「地表から」の意味と山・ビル・空港での注意
  24. 24お祭り・イベント上空でドローンは飛ばせない|「催し場所」ルールの範囲と例外
  25. 25山・国立公園でドローンを飛ばせる?森林・公園の管理者ルールと山特有のリスク
  26. 26海・ビーチでドローンを飛ばすルール|DID外でも残る4つの確認と塩害対策
  27. 27無線局免許状が届いたらやること5つ|電波利用料・写しの携帯・OSDのコールサイン
  28. 28無線局免許の再免許(5年更新)のやり方|期限・費用・忘れた場合のリカバリー
  29. 29VTXを買い替えたら「変更申請」|送信機の増設・取替の手続きと費用
  30. 30コールサインとは?FPVでの使い方|OSD表示という現代の名乗り方
  31. 31ドローンの条例の調べ方|航空法OKでも飛ばせない「自治体ルール」の探し方

SPONSORED

コメント・質問

記事への質問や感想をどうぞ。投稿は公開されます。個人情報や攻撃的な内容は控えてください。

コメントするにはログインしてください。

まだコメントはありません。最初の投稿をどうぞ。